合同会社 twoACE

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✕ 若本 晃彦

2024年7月26日

捨てる神あれば拾う神あり。
twoACEが本格的に始動できるまで「スタッフも利用者さんも全部ひっくるめてうちで面倒見たる!」と、我々の命を救ってくれた義理堅き人情兄貴、合同会社WILD DUCK 若本代表。
西成が生んだアウトローな風格とは正反対なその優しさは、男が惚れる、まさに男の中の男なのである!
借金…刺傷事件…人生のドン底から這い上がった、男の真髄に迫る!

心技体

濵田)いやぁ〜こうして若さんと飲みに行けるなんて、なんか感慨深いですね。あの時は本当にお世話になりました。
若本)全然、うちもそれで助かった部分もあるし、決算の時期で売り上げがやばかった事もあるしね(笑) だからこちらこそありがとうやわ。
濵田)ほんまですか!?なんか若さんには借りっぱなしな気がしてて、ULU(介護サービス)でお世話になった3ヶ月間がなかったら、今の自分達は無かったでしょうし、本当に命を救われました。
若本)これからもお互いに協力し合えたらええね。
濵田)はい!これからもよろしくお願いします!
ところで、若さん少し痩せられました?
若本)そうやねん、実は言ってなかってんけど、2年前くらいかな?もうこの年になったら、あちこち体をいわすやん?だからな、ボクシングを始めてん。
濵田)えっ!あっ、ビックリした〜。改まっていわれたから、何か病気なんかと思いました(笑) 健康的な痩せ方ですもんね!
若本)元々、20代〜30代にボクシングしててんけど、最近は減量で体を絞って7キロ痩せてん。
濵田)7キロですか!?めちゃくちゃ大変ですね…!
若本)6月に試合があったから、毎日ジムに通ってトレーニングして、結局試合では判定負けしてんけどな。負けて言うのもなんやねんけど、勝てた試合やったからめっちゃ悔しかったわ(笑)
濵田)なんか、スポーツって人生にも繋がりますよね。人生でも負けた時のモチベーションが一番大事やし、そこで落ちるんじゃなくて、いかに這い上がるかっていう。
若本)そうそう!俺もまた次の試合に向けて目標もできたし、チャレンジ精神も出てくるし、ほんまにそうよね。
濵田)僕はボクシングはド素人なんですが、観るのは大好きなんでよく観るんですけど、昔空手をやってたのもあって、格闘技にはすごい興味があるんです。
若本)いいやん、空手やってたんなら絶対やった方がいいよ!やっぱり体かできてくると心もついてくるっていうか、格闘技で「心技体」ってよく言うやん?あれはほんに感じるわ。
濵田)わかります。筋肉は裏切らないですしね(笑)
僕も最近お腹周りが出てきて、やばいなぁと思って腹筋とか背筋を鍛えてるんですけど、やっぱり努力した分筋肉がついてきて、それが自信にも繋がりますもんね。
若本)あぁもう絶対ボクシングやった方がええわ。
濵田)事務所の近くにボクシングジムがあるので、ずっと気になってたんです(笑)もうちょっと時間に余裕ができたらやりたいですね。いつか若さんと試合ができたらおもしろいですね(笑)

義理

濵田)今、休みってちゃんと取れてますか?
若本)基本的に、事業所自体は土日を休みにしてるから、でもなんやかんやで動いてるで?管理者の子らも一応休むからさ、でも動かなあかん時とかいっぱいあるやん?利用者さんの急な対応とか。スタッフにあんまり負担をかけたくないっていうのもあるから、自分が動ける範囲は動くし。でも、社長が休みの日もガンガン動いてるっていうのをアピールし過ぎたら皆しんどいやん?(笑) だから形としては完全に閉めてるけど。
濵田)人が見ていないところで動いてはるんですね。
じゃあ、プライベートってあんまりないんですか?
若本)いや、そんな事ないよ。なんかこの仕事してたら感じる時ない?今週末なんか起きそうやな…とか(笑)
濵田)なんとなく直感的にですか?(笑) 僕はあんまりないですね〜(笑)
若本)一週間の動きで、ひょっとしたらこの土日動かなあかんかな…とか。俺結構そういうのがあんねん。だから俺波乗りやってるやん?でもそういう時は海に行かんと、一応西成におるようにしてる。まぁでもそうじゃない時は海に行って色んな事を忘れるようにしてるかな。
twoACEは今閉めてんの日曜だけやろ?
濵田)日曜日だけは基本的に仕事を入れてないですね。まぁいつも利用してくれてる方がどうしても日曜日に必要な時は全然入りますけど。週休二日は取れない時はやっぱりありますね。
若本)うちなんか、未だに他の事業所から土日閉めてる事を言われるからな。一回スタッフの子らからも俺が怒られた事があんねんけど、こんな仕事やから土日閉めてたらあかんのちゃいますの?って。交代で休むのはいいけど、やっぱり土日も開けとかないとって。めっちゃいい子らやねん(笑) でもスタッフがそういう子らやから、逆に閉めないとあかんなって。みんな生活もあるし。
濵田)そうですよね、やっぱり介護する側が元気じゃないと、人のお世話なんかできないですからね。事業所を開けると、結局休みの日でも管理者とかサ責に連絡が入りますし、僕もうちで働いてくれてる人には、プライベートを犠牲にしてまで働いてほしくはないと思ってます。
若本)でも仕事の依頼があって、やっぱり仕事を取られへんかったらケアマネさんにも利用者さんにも悪いやん?だからうちで取られへん時は、他の事業所さんを紹介したりしてる。そういう横の繋がりも大事にしてるし、たまに自分のところで全部抱え込むところとかあるやん?そういうやり方は嫌いやし、皆で儲けたらええやんって思ってる。
濵田)わかります。そういうところはその地域でも"そういうところ"って知れ渡りますしね(笑)
若本)訪問介護なんて、別に一人の利用者さんに対して二つの事業所が入ってもええ訳やん?そこで取り合いする必要がないし、お互いカバーし合ってお互い儲けていきましょうやって。それをわからん社長さんは、意地でも取っていきよるけど(笑)
濵田)いやぁ〜若さんはハッキリしてますよね。気前がいいというか。
若本)なんやろ、無駄な時間が勿体ないって感じ。特に年取ってきたからかな(笑)
濵田)僕も色んな社長さんと関わってきましたけど、やっぱり狡い考えの人とかいっぱいいて、でも若さんと話して、「やっぱり社長ってこうよな!」って思いましたね。
若本)いや、そんなん!俺は社長としてまだまだやし。まぁほんでそういう社長さんからも学ぶ事がいっぱいあんねんけどな。
濵田)わかります。否定はしないですけど、でも単純に好きか嫌いで言ったら、やっぱり若さんみたいな考えの人の方が好きですね。
若本)俺見た目こんなんやけどさ、結構ラブ&ピースやねん。(笑) 格闘技は好きやけど、喧嘩は嫌いやし。どっちかって言ったら平和に、お互いやっていきましょうやっていう精神やから。でもそれで損するところもあるで?俺は思った事をハッキリ言うし、そういうのが嫌な人もおるし。でも俺は佳奈ちゃん(ULU介護サービス管理者)に対してもハッキリ言ってんねんけど、佳奈ちゃんが辞めるって言ったら、もうULUは解散するから。佳奈ちゃんがおったからやってきた訳やし。別に俺はそれに食らいついてULUをやっていく気はないから。まぁあの子にしたらプレッシャーにはなってるやろうけど。(笑)
濵田)若さんの考え方って、重きに置いてるのが「人」じゃないですか?会社の事も、もちろんしっかり考えてはるんですけど、なんと言っても一番大切にしてるのは「人」。それを凄く感じます。
若本)そういえば、twoACEの前に、同じように事業所立ち上げるまで面倒見た人がおんねんけど、その人なんか自分とこの事業所が立ち上がったらそれっきりやからな。
濵田)やっぱり若さんは義理堅いですし、そういったところで人はついてくるんでしょうし、無下にしてたら人は離れていきますよね。

濵田)3ヶ月位前にお会いした時、若さんすごい疲れてはったじゃないですか?(笑) なんか、もう「このまま会社を発展させても、果たしてそれで自分の人生は幸せなのか?」みたいな。(笑) で、その後にさらにプライベートでも落ち込むような話も聞いてたし、今日実はめちゃくちゃ心配してたんです。若さんあの時より落ちてたらどうしよ〜って。(笑) でも今日お会いしてすごく前向きに物事考えてはるし、よかった〜って思うのと同時に、流石やな〜って思いました。
若本)なんやろ、社長って結局は一人やん?(笑) スタッフも皆すごくいい子らやねんで?でも、社長やってると一人っていうのをすごく感じるし、そういったところで疲れてたんやと思う。
濵田)わかります。でも僕は周りに助けてもらってる事がいっぱいあるので、ほんまに一人やったらすごい落ちるし、やっていけてないと思います。もうしんどいっすもんね。(笑)
若本)まぁ俺は自分の性格でもあるねんけど、自分が何かあった時に自分で解決できひんのが嫌やねん。ほんまは無理な事でも口に出したくないっていうか。けど正直に言うと、めちゃくちゃしんどい。(笑)
でもボクシングが良いきっかけになって、まだ自分は強くいれるって自信がついたし、走っていけるなって思えた。だから翔ちゃんなんてまだまだ駆けないとあかんで。(笑) 30代、40代はそこが人生の勝負やから。
濵田)そうですね、名前負けしてたらダメですね(笑) 僕も来年は40歳になるので、もうひと皮剥けたいですね。
若本)俺も世話になった社長とサシで話してた時、その人は30〜40代でめちゃくちゃ生き急いでてん。俺からしたらなんでそんな急いでるんやろ?って思ってたから聞いてんけど、ほんなら「周りにもめっちゃ無理させてるってわかってんねんけど、結局俺が年取ったら体力も精神力も衰えていくから、だから若いうちにガンガンいかんと会社も衰えていく。今は周りに何て言われようと、自分は喧嘩売っていくんです」って言ってて、その気持ちは俺も男としてわかるし、だから俺もついて行っとってんけどな。でも俺が辞めた理由はあの事件があったから。
濵田)あの事件って、刺されたやつですか?
若本)そう、利用者さんに刺されて、あの時に会社から従業員に対して守ってくれるっていうか、そういう動きを感じへんかってん。刺されたんを一部の人間にしか知らせんようにしてたし。そこで大々的に、「西成でこんな事件がありましたよ」って、「皆も気をつけていきましょう」って、もちろんそれで怖くなって辞める人間も出てくるかもしれんけど、隠してたら人を守られへんやん。従業員を守る動きをしてくれんかったから、この会社はとりあえず離れた方がええなって思って、ほんで今の会社立ち上げてんけどな。
濵田)なるほど〜。なかなか凄い話でしたが…(笑) それまでは独立とかって考えてなかったんですか?
若本)いや、その会社入った時に5年間で介護業界のシステムを学んで、ほんで独立しようって思っててんけど、ズルズルいってもうて、でもほんまにあの事件がなかったらまだ残ってたんちゃうかな?
まぁでもまだ39歳やっけ?とにかく今行くべき。年齢的に。
濵田)そうですね、よく定年迎えてから第二の人生を〜とかって聞くんですけど、その年からできる事ってやっぱり限られると思うし、今しかできない事ってめちゃくちゃありますよね。
若本)40代って特に社会的にも完全に認められる歳やし、周りにもケツ叩いてくれる人間がおるんやから。ほんなら50代になった時に、めっちゃ楽になってるから。
俺はその一番大事な40代が一番最悪やってん。こんなん言うのはカッコ悪いけど、ほんまに金無くて借金して、逃げて"ピーーー(自主規制)"されたりして、自動販売機の下を探るような生活をしてたわ。一番突っ走らなあかんときに突っ走られへんかったのは、後悔というか、反省してるね。
濵田)そこから前の会社に入られて、5年で起業するって思われたのはどういう経緯があったんですか?
若本)とにかくその時は人生の一番最悪な時やって、今考えたらちょっとメンタルやられてたんかなって思うけど、でもこれ以上落ちたらあかんと思って頑張ってん。今から人生を成功させる事は何か?って考えて、例えばどっか会社に面接行ったとしても、こんなオッサン雇ってくれへんやん(笑) ほんで最終的に"自分で会社をやらなあかん"って答えになってんけど。そこからどういう職業がいいか?とか、世の中に返せる事は何か?って考えた結果、介護に辿り着いてん。ほんで資格取りに行って、一から修行したって感じかな。
濵田)いやぁ〜借金や刺傷事件、その他"ピーーー(自主規制)"の事までいっぱい聞けて(笑)、でもその人生のドン底から這い上がって来たからこそ、人を大切にできるというか、若さんの義理人情の真髄に迫れたし、とても勉強になりました!
若本)ほんま今日はこんな会ができてよかったわ。これも縁やね。
濵田)本当に、素晴らしいご縁に感謝です。




若本 晃彦 Akihiko Wakamoto

合同会社WILD DUCK代表
実務者研修・サービス管理責任者・相談支援専門員
今宮工業高校卒・建築デザイン講師
YouTube「STEREO crava」
バーテンダー・レゲェDJ・サーファー・ボクサー

45歳から介護に携わり、53歳で独立。
西成で訪問介護事業所「ULU介護サービス」を立ち上げる。
座右の銘は「有言実行」。
孤独を味わったからこそ、自分に厳しく、人に優しくできる。
持ち前の克己心と向上心は現在でも衰えを知らず、西成から福祉を支えている。